海外駐在の求人・中途採用トレンドの変化

海外駐在の求人・中途採用トレンドの変化

現在、海外駐在を求める中途採用が非常に増えてきています。これは日本企業が海外進出への投資を増やす際に、社内から派遣する海外駐在要員だけでは足りないことから、外部市場からその経験者を中途採用するという動きとなります。

この動きは、2000年代中盤に中国に多くの企業が進出した際や2010年代の前中盤に東南アジアへ新規の進出をした企業が非常に多かった際にも見られました。

直近では、2019年に海外駐在関連の中途採用数が増加したものの、コロナにより徐々に減少し、2021年にはピーク時の半分以下にまで減りました。それが現在、徐々に増えてきています。

海外駐在の中途採用・求人が増えている背景

1. 日本企業の海外進出、海外直接投資の再開

既存の拠点からは、「日本人駐在員の数を減らし、現地の人に任せる現地化」といった動きがありますが、新規で拠点を開設する、進出する際には、どうしても日本から日本本社の人員を派遣することが多く、それに伴う社内での海外駐在員の人員確保が難しくなっているという背景があります。

社内で人員確保が難しい理由として、新規で進出しようとしている国が以前と変わってきていることがあげられます。以前は東南アジアでしたが、現在は、北米や北米への部品供給を目的とするメキシコの海外駐在求人が多くなっています。北米やメキシコは東南アジアのような非英語圏よりも高度な英語力が求められるため、社内での人員が多くありません。また日本と比べて治安や生活の便利さに不安を覚えることも原因となり社内確保が難しくなっています。

2. 既存拠点におけるビジネスの現地化

既存の拠点においても、現地化を進める際に、より高度な国際コミュニケーション能力やより海外市場に詳しい人を派遣したいというニーズがあります。

具体的には、東南アジア等において、現地に進出している日本企業向けにのみビジネスを行っていた企業が、今後の持続的な成長のために、現地企業や現地に進出している欧米系企業にビジネスを開始する際にニーズが生じます。

日本国内で日本企業以外のビジネスを行った経験がある人を求める求人が増えています。

3. 海外事業を運営している部門と人事部門との採用計画のギャップ

海外事業の部門と人事部門とで採用計画にギャップがあり、急きょ海外駐在員の求人が発生することがあります。コロナも終わり海外事業が軌道に乗り、海外駐在員を増やしたい海外部門の要望に人事の採用スケジュールが合わなくなってしまったことが原因となります。

海外駐在員を社内で補うことができない企業が多いというのが現状ですが、海外駐在員を全員、中途採用しなくても、既存の社員を海外の拠点のマネジメントができるように育成していく。社内育成方法が確立されれば、新卒採用の中からでも、海外留学経験のある学生や帰国子女を採用し、将来的な海外のマネジメント要員としてキャリアパスを作るこちができるでしょう。中途採用で海外駐在員を補うだけではなく、社内で海外駐在員を創出できるような人材戦略を作ることが大切です。

海外駐在員の採用で失敗しないポイント

海外駐在員に求めることの言語化

海外駐在員の資質のひとつとして、異文化コミュニケーション能力があげられます。ただ異文化コミュニケーション能力といっても、"会社によって"、"送る国によって"、また同じ拠点でも"送る時期"によって求められる異文化コミュニケーション能力は違います。"現地スタッフに対して言葉で指導することができる"のか、"組織やプロジェクトをリードすることができる"のか、現地法人の事情や事業戦略をふまえ、しっかりと言語化をすることが海外駐在員の人選・育成・採用を行う上では非常に重要です。

また、マネジメントポジションの場合は、海外駐在することによる発揮してほしいマネジメントスキルと身に着けてほしいマネジメントスキルのギャップがないように言語化することが大切です。

一度採用チームにて以下のような論点で話をし、言語化してみるのもいいでしょう。

  1. チームプレイヤーとはどのような場面でどのような行動をすることができる人を指しますか
  2. 面接で見極めるのが難しい要件は何ですか?それを面接で確かめるにはどのような質問をしたらいいでしょうか
  3. 海外事業が次の段階へ進んだとき、新たに英語力が必要となる部署はどこでしょうか
  4. 今後これまでとは違ったタイプの駐在員を派遣すべき拠点はどこですか

海外駐在員の資質の変化

海外駐在員は「現地スタッフへの指示」「問題解決」「現地企業との関係性や風土情勢」といった実務能力に長け、マネジメント能力もあり、ハンズオンで問題解決ができ、現地の方からも尊敬されるような人材が選ばれていました。ただ、現在は現地化を控えた日本企業も多く、そういった企業での海外駐在員は「スタッフ育成・指導」「権限譲渡」「理念ビジョンの策定と浸透」といった自分に変わり将来的に幹部を担う現地の人材を見出し、仕事を教え、職務を委譲することが求められてきています。

次の海外駐在に向けたトレーニングと外部採用

前述のとおり、海外駐在員に求められる資質が変わってきていることもあり、外部から現地化の経験がある海外駐在経験者の採用は長期化することがあります。そのため、社内や社外から海外駐在候補者をまず採用し、次の海外駐在に向けたトレーニングを始める。また長期化を見越し、転職エージェントと定期的にコミュニケーションをとりながら、現地化経験のある海外駐在経験者の採用を進めるのがいいでしょう。

今後の海外事業戦略に関する人の確保に不安がある際にはぜひJAC Recruitment海外進出支援室へお問い合わせください。