2024年10月22日
シンガポールのホワイトカラー人材紹介市場の動向 (2024年7月~9月)
シンガポール:専門人材の需要増加も全体は限定的
求人数前年同期比:60%
求人数前期比(過去3年):
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | ||||||||
10~12月 | 1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 | 1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 | 1~3月 | 4~6月 | 7~9月 |
90% | 151% | 96% | 156% | 68% | 157% | 59% | 95% | 91% | 108% | 85% | 72% |
<国内情勢>
シンガポールの2024年7~9月期の経済成長率は前年同期比1.2%でした。内需と観光業の回復が成長を支えた一方で、輸出の低迷が経済に影響を与えています。インフレ率は3.2%と高止まりしており、政府は引き続き抑制的な金融政策を維持しています。
また、例年のナショナルデーラリー(建国記念日の首相演説)では、スキルアップ支援や失業者支援制度に加えて、少子化対策として育児休暇制度の大幅な拡充が発表されました。新生児と過ごすための有給休暇制度が2025年4月1日から2段階で導入され、合計30週間の休暇が子育て世帯に提供される予定です。
<企業の採用動向>
7~9月期のシンガポールの求人動向では、金融業界において前期と比較して若干の回復が見られましたが、採用の多くは既存スタッフの退職に伴うリプレイスメントポジションであり、新規採用は引き続き限定的です。香港や中国の情勢不安を受けて活発だったプライベートバンクやファミリーオフィスの移管に伴う採用活動は、現在落ち着いています。金融業界以外では、求人数はほぼ横ばいの状態です。
9月からは就労ビザ保有者の更新にCOMPASS審査基準が適用されるため、企業は人員の海外移転や現地化を加速させており、特に、デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティ関連のポジションにおいては、専門知識を持つ人材の需要が高まっています。企業は競争力を維持するために、より高度なスキルセットを持つ候補者を求める傾向が強まっています。さらに、リモートワークの普及に伴い、柔軟な働き方を提供する企業が増えており、これが求職者にとって魅力的な要素となっています。
<求職者の動向>
就労ビザが必要な求職者については、ビザの審査基準が厳しくなっていることから新規登録者数はやや減少していますが、ビザ取得基準を満たす給与水準で募集されている専門職やマネジメント層の新規登録は見られました。一方、企業からの需要が高いシンガポール国籍保持者、永住権保持者、配偶者ビザ保持者の登録者数は、新規・再登録ともに安定しており、キャリアアップ、給与の向上、ワークライフバランスの改善を目指して転職活動を行っています。就労ビザが不要なこれらの求職者層は、企業からの求人も多く、引き続き売り手市場が続いています。
JAC Recruitment シンガポール法人 社長
Fahad Farook
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