キャリア採用とは?中途採用との違いやメリットと成功させるポイントを解説

キャリア採用とは?中途採用との違いやメリットデメリット、成功させるポイントを解説

キャリア採用とは、企業が経験豊富な人材を採用する際に使用される手法です。これにより、即戦力となる候補者を獲得し、組織の成長や競争力の向上を図ることができます。この記事ではキャリア採用と中途採用の違いをはじめ、キャリア採用を成功させるためにポイントを解説します。

 

キャリア採用とは?

キャリア採用とは、就業経験があり、業界や職種経験がある人材を採用することです。就業経験及び業務に関するスキルや知識があるため、即戦力となる人材の採用が期待できます。専門性の高いスペシャリストを採用することにも有効で、企業は迅速な業務遂行や新たなビジネスの展開、組織の成長を実現することができます。即戦力となる人材であるため、教育コストを抑えることができます。尚、一般的に「未経験可」の求人についてはキャリア採用とは呼びません。

キャリア採用と中途採用との違い

キャリア採用と中途採用は、両者とも就業経験者を採用する手法ですが、異なる特徴があります。中途採用は、キャリア採用よりも広い意味で用いられることが特徴で、就業経験はあるものの、未経験者や異業種からの転職者が対象となります。キャリア採用は、職務経験や専門知識を持つ候補者に焦点を当て、即戦力となる人材を効率的に採用することを目的としています。

キャリア採用が注目され、利用する企業が増えている理由

キャリア採用を利用する企業が増えている理由はいくつかあります。

まず第一に終身雇用が崩れたことで、転職が当たり前になったことがあげられます。1社で定年まで勤めあげるという価値観は薄まり、スキルを上げることができる会社に転職し、市場価値を上げることが一般的になってきました。また特にIT系に関しては激しい変化に社内の育成が追い付かないことから、即戦力人材であるキャリア採用の需要が増えています。

新卒採用でITエンジニアなどの専門職にはジョブ型雇用が採用され始めているのはこうした背景によるものと考えられます。

 

キャリア採用を行うメリット

キャリア採用は、企業にとって重要な採用手法の一つです。経験豊富な候補者を採用することで、企業の成長や競争力の向上を図ることができます。では、キャリア採用を行うメリットについて見ていきましょう。

事業成長のスピードを上げられる

キャリア採用によって経験豊富な人材を採用することで、事業成長のスピードを上げることができます。経験者はすでに業務に慣れており、即戦力となることが期待できます。経験に基づいた意思決定や問題解決能力も高いため、業務を円滑に進めることができます。例えば、他社では長期間かかっていたプロジェクトを、経験豊富な人材を採用することで短期間で完遂することができるでしょう。

自社に新しい文化やノウハウをもたらしてくれる

キャリア採用によって経験豊富な人材を採用することで、自社に新しい文化やノウハウをもたらしてくれます。異なる経験やバックグラウンドを持つ候補者は、新しいアイデアや視点を提供することができます。その結果、組織のイノベーションや成長を促進することができます。例えば、他業界の経験者を採用することで、新しい業界標準を導入し、競争力を高めることができるでしょう。

即戦力となる人材を採用できる

経験豊富な候補者を採用することにより、即戦力となる人材を採用することができます。彼らは業務に慣れているため、短期間での業績向上や課題解決に貢献することができます。また、既存のネットワークや人脈を活かしてビジネスにおいて有利な関係を築くことも可能です。例えば、業界経験のある人材を採用することで、既存の取引先との関係強化や新規取引先の開拓を加速することができるでしょう。

組織の生産性向上が期待できる

経験豊富な人材の採用は、組織の生産性向上にも繋がります。彼らは業務に乗り込むスピードが速く、効率的な業務遂行ができるためです。また、経験に基づいた意思決定やリーダーシップの発揮により、チーム全体のパフォーマンスを高めることができます。例えば、経験豊富な人材の採用により業務プロセスの改善を促進し、効率的な業務の遂行を実現することができるでしょう。

 

キャリア採用の進め方と成功させるポイント

キャリア採用を成功させるためには、募集前の段階、募集時・選考時の段階、内定~入社までの段階で適切な対応が求められます。以下では、各段階の進め方とポイントについて詳しく説明します。

募集前の段階

募集前の段階では、求人要件の明確化による採用したい人物像の明確化と必要要件を絞り込むことが重要です。求人要件やポジションの詳細をヒアリングし、求めるスキルや経験、キャリアパスなどを明確にしましょう。

求める人物像の明確化

キャリア採用とはいえ、現場から「スキルが多少劣っていても、会社のカルチャーにフィットするような人」ということもあるため、現場にヒアリングし、どのような人材を採用したいのか明確にすることが大切です。

採用の要件定義

求人票に記載する必須スキルや歓迎スキルを明確化し、記載しないものの避けたい条件も把握しておくことで、部門や現場とのミスマッチを防ぐことができるでしょう。

採用手法・採用方法

採用手法についても「転職エージェントから人材を紹介してもらう」「既存の社員から紹介してもらうリファラル採用を使っていく」等、採用コストや人数、採用期間を考慮し、どのように活用していくのか検討していくのがいいでしょう。


募集時・選考時の段階

選考基準の明確化

面接の前に、スキルや経験の評価基準を設定しましょう。どこまでスキルや経験を保有していれば問題ないのか、面接官ごとに評価のばらつきがないように選考基準についても明確化しておくことが大切です。

面接での見極め

キャリア採用の面接では、どうしてもスキルや経験を重視しがちですが、適性や人間性、企業のビジョンや文化に合うかどうかも見極めることが大切です。候補者との相互理解を促すため、オープンな質問や具体例を用いた自由な面接方法だけでは面接官も主観が入ってしまうことがあります。あらかじめ質問内容を決めてから行う面接も実施し、選考の透明性を確保するため、選考基準を明示し、公平な評価を行いましょう。


内定~入社までの段階

内定~入社までの段階では、候補者との関係性を構築し、スムーズな入社をサポートすることが大切です。内定者とのフォローアップや入社手続きのサポートを行い、必要に応じて人事・現場社員とのコミュニケーションや面談を通じて不安や疑問を解消しましょう。また、魅力や働く環境を整備し、積極的に伝えていくことで、入社意欲を高めることができます。

もちろん、候補者とのコミュニケーションだけではなく、採用全体を通じて問題がなかったのか振り返り、次の採用の改善につなげていくことが大切です。

 

キャリア採用を取り入れる際の注意点

即戦力となることを期待しすぎない

キャリア採用では、すべての候補者が入社後にすぐ即戦力となるわけではありません。経験を持つことは重要ですが、職場環境、上司や同僚の違いや業界の特性によっては適応に時間がかかる場合もあります。同一業界やスキルがあるからといって、「これはできて当然だろう」といった姿勢は新しく入社された方にとってプレッシャーにつながります。丁寧なフォローをし、会社にまずはなじんでもらうことが結果的に最短でのパフォーマンスを発揮してもらうことにつながります。

オンボーディング施策をしっかりと行う

キャリア採用で新たな人材を迎え入れる際には、オンボーディング施策をしっかりと行うことが重要です。オンボーディングは入社者が会社に慣れ、パフォーマンスを発揮し活躍できるようにするまでの一連のプロセスです。組織のルールや業務フロー、コミュニケーションのスタイルなどを丁寧に説明し、定期的なフォローアップや研修の実施など円滑な職場環境への適応をサポートすることが重要です。。

スキルや経験だけに注目しない

キャリア採用では、スキルや経験だけに注目するのではなく、人物面やポテンシャルにも目を向けることが重要です。適切なコミュニケーション能力やチームワーク、問題解決能力などは、経験を積んで磨いてきたキャリア採用者に多く見られる特徴です。スキルは新しく取得できますが、性格はなかなか変えることはできません。スキルだけで採用しミスマッチを起こさないようにしましょう。

 

「キャリア採用」か「新卒採用」か、選ぶ際の判断基準とは?

採用費用と時間

キャリア採用は経験豊富な人材を採用するため、採用費用や採用にかかる時間が多くなる傾向があります。ただ内定をしてから入社までは時期にかかわらず短期間で入社が可能です。

一方、新卒採用は新入社員を採用するため、採用費用や採用にかかる時間が比較的低く抑えられます。ただ、入社時期は4月が一般的ですので、内定から入社までに時間がかかります。

予算や時間的な制約を考慮して、どちらが適しているか判断することが大切です。

企業の成長戦略

キャリア採用は経験豊富な人材を採用することで、即戦力を獲得し、企業の成長を促進することができます。直近の課題解決であればキャリア採用は最適でしょう。

新卒採用は若手の成長を支援し、将来のリーダー候補を育成することができます。企業の将来といった長期的な目線で考えると新卒採用のほうが有効でしょう。

企業の成長戦略に合わせて、どちらが適しているかを考えましょう。

 

キャリア採用が多く行われている職種

どの職種でもキャリア採用の実施は可能ですが、以下のような専門的な経験やスキルが必要な職種で導入されている傾向にあります。

IT関連職種

IT業界では、技術や専門知識が求められるため、経験豊富な人材を採用することが一般的です。プログラマーやエンジニア、システムアーキテクトなどの職種でキャリア採用が多く行われています。IT関連職種では常に最新の技術や知識が求められます。キャリア採用により、他業界で培われた高度な専門知識や経験を持つ人材を採用することで、組織の技術力や開発能力を向上させ、競争力を高めることができます。また他業界で培われた異なるスキルセットを持つ人材を採用し、多彩な視点やプログラミング言語といったスキルを組織に取り入れることで、新たなイノベーションや問題解決能力を生み出すことができます。

コンサルタント職種

コンサルティングファームでは、幅広い業界や企業に対して経営戦略やコンサルティングを提供するため、経験豊富で専門知識をもった人材を採用することが一般的です。コンサルティングファームではコンサルタントやエグゼクティブポジションでキャリア採用が多く行われています。コンサルタント職種では、幅広い業界や企業に対して経営や業務の改善策を提案する能力が求められます。キャリア採用により、異なる業界や分野での経験を持つ専門家を採用することで、幅広い視点と専門知識を持つコンサルティングチームを編成することができます。

営業・人事職種

これらの職種では、専門知識やスキル、経験が求められます。営業職は未経験から育てるためにはかなりの時間がかかります。業界が異なっても前職の人脈が転職後にいかすことができる場合もあるため、キャリア採用が重宝されています。人事も営業と同様、経験や場数が重要視されます。イレギュラーなことがあっても、未経験の人よりも経験者のほうが対応力があることから、キャリア採用が行われています。

経理・財務・法務

経理・財務・法務は業界が変わっても、求められる経験やスキルは同じことが多く、ノウハウや経験豊富な候補者は即戦力として重宝されます。

マネジメント職種

部門マネージャーやプロジェクトマネージャー、チームリーダーなどのポジションでキャリア採用が多く行われています。マネジメント職種では、組織を率いる能力や戦略的な視点が求められます。キャリア採用により、他業界で幅広い経験を積んだリーダーシップのある人材を採用することで、組織の経営力や競争力を向上させることができます。

キャリア採用にお悩みの際はご相談ください。