メディカル(医療)、ヘルスケア業界の採用市場動向

メディカル(医療)、ヘルスケア業界の採用市場動向

メディカル(医療)、ヘルスケア業界の最新動向

医療機器業界の最新動向

医療機器業界では、「ロボット手術」など最先端治療にかかわる製品が数多く開発されており、部署を新設する動きもあります。ロボット手術・低侵襲治療・カテーテル手術といったトレンド領域や、進化を遂げているCT・MRI・放射線治療装置などの機械製品などを手がけることを目的に、転職活動を始める方も増えています。

医療機器業界は、人の命にかかわる業界であることから景気に左右されにくく、世界的にも市場が拡大を続けており、また2021年から現在では減少していた求人数も従来通りに戻っていますので、新しいキャリアにチャレンジできる環境が整ってきました。

ヘルスケア業界の最新動向

ヘルスケア業界各社ではオウンドサイトなどを中心にデジタルチャネルの活用を2000年代から行ってきましたが、コロナ禍を機に急拡大。MR(Medical Representatives = 医薬情報担当者)が病院を訪問できない環境下、3rdParty(サードパーティ)メディアやオンラインMRを通じた情報提供の重要性が高まり、急速にデジタル投資が進みました。

現在はMRによる従来型のプロモーションだけでなく、オウンドサイト、3rdPartyメディア、メルマガ、オンラインMRなど、さまざまなチャネルを活用。顧客のニーズに合う情報をタイムリーに届けて「CX(カスタマーエクスペリエンス)= 顧客満足」を最大化することを目指し、事業への投資と採用が活発になっています。

MRの最新動向

MRの全体数としては、これから定年を迎える方が多い中、大量補充をされることがなく減少していく予測ですが、その分、生産性を高めるため、キードクターを網羅して担当するようなポジションが2022年ごろから続々と募集されており、MRの求人数は増加傾向にあります。

製薬業界の最新動向

従来の製薬業界は、ブロックバスターと呼ばれるような汎用的で数千億円レベルの売り上げが立つ新薬を開発し、販売することで主たる収益源としてきました。しかし一般的な疾患を対象とする医薬品はほぼ開発し尽くされ、大きな市場を見込める新薬の開発は頭打ちになったことで、製薬会社のビジネスモデル・収益構造は大きな転換期を迎えています。

そのような潮流の中で、かつては医薬品の主流だった化学合成による医薬品だけでなく、バイオ医薬品や遺伝子治療、再生医療など、モダリティ(治療手段)の幅が広がっています。

良い薬を作って売るだけではなく、疾患の啓蒙や啓発を行い、予防医療の拡大、デジタルヘルスの領域に参入する製薬企業も増えています。

近年の製薬業界における合併・買収の狙いも、そうした戦略に則って、弱みを補い、強みを盤石なものにするところにあります。製薬会社においての合併・買収は昔からよくある動きですが、外資企業はもちろん、日系企業もそれに追随する大胆な動きを見せつつあります。

また、中小規模の製薬会社はリソースが限られているため、自社の強みの見極めた上で、CSO(Contract Sales Organisation = 医薬品販売業務受託機関」)を用いたプロモーションの活用や、大手製薬ではnonMRプロモーションで売り上げを作るなど、開発に投資していくようなビジネスモデルも増加しています。

メディカル(医療)、ヘルスケア業界の採用動向

医療機器業界の採用動向

医療機器業界の営業職

大手外資系メーカーを中心に営業職の採用が活況となっていますが、中小外資系メーカーも採用活動は継続しています。

年代別にみると、30代の医療機器の営業経験者は採用ニーズが非常に高く、診療科は異なっても医療機器の営業経験者を採用しようという動きがみられます。

40代では即戦力を採用したいという企業のニーズが強まり、類似した商品を扱う競合や同じ診療科の製品を扱っていた企業から採用しようという専門性の高さが見られます。専門性が高ければ、給与をあげてでも採用したいと考えている企業が多い傾向にあります。また、40代ではプレイングマネージャーとしてのスキルだけではなく、チームマネジメントやピープルマネジメントをしていた人を採用したいという意向が強まっています。

医療機器業界のマーケティング職

医療機器業界のマーケティング職は、門戸が大きく開かれている状況です。コンシューマ系のマーケティング経験者を採用するケースだけでなく、英語スキルがあればマーケティング未経験であってもマーケティング職として採用するという求人も出てきています。

マーケティング部門には「トレーニング」を担うポジションもあり、XR(VR・AR・MR・SRなど)を駆使したトレーニングプログラムの開発にあたり、XRの知見を持つ人材を求める動きもあります。

デジタルマーケティングに関しては、医療機器業界は他業界よりも遅れていることもあり、製薬業界など他業界でデジタルマーケティングの立ち上げを経験した方、コンサルティングファームでデジタル導入プロジェクトを手がけてきた方などが即戦力として採用される事例も増えています。

また外資系医療機器企業でのマーケティングは語学力はもちろん、日本のマーケット状況のレポーティングや本国の要望に対して交渉する力が求められ、英語力があれば、40代~50代でも採用されるケースがあります。

製薬業界の採用動向

製薬業界はもともと経済状況に左右されにくい業界ではあります。製薬業界の転職市場において外資系・日系を問わず求人数はここ数年増加傾向です。

本社ポジションにおいても、製品販売に伴うマーケティングやMSL(Medical Science Liaison = メディカル・サイエンス・リエゾン)のポジションは活況です。各社のパイプラインの動向が伺えますが、バイオベンチャー、スペシャリティファーマ、大手の製薬会社まで広く採用ニーズがあります。

開発力がある企業については臨床開発に関わるポジションの採用ニーズも多く発生しています。

また、プロモーション戦略の多様化 = オムニチャネル戦略が加速する中でデジタル関連ポジション・データ分析関連のポジションも採用が増化傾向にあります。

従来は業界内で経験者採用が一般的ではあったものの、異業界からの人材獲得も増化傾向にあります。各社、アジャイルに物事を進めていく考えが外資系製薬会社を中心に浸透していますが、コンサルティングファームやIT企業の出身者を中心に採用するなども近年のトレンドです。

MRの採用動向

数年前には「MR不要論」が議論された時期もありますが、「やはり必要」という判断から積極採用に切り替わり、採用は増加傾向にあります。

MRを削減した企業では、マンパワー不足を感じ、社内リソース不足から、再び増員の動きがみられます。また、新たな領域の立ち上げなどでゼロから組織を作るに際し、デジタルマーケティングだけでは追い付かず、事業拡大の為に、一定数のMRの必要性を感じ採用しています。

外資系メガファーマでは、疾患領域別で見ると、オンコロジー、中枢神経系、免疫系などのスペシャリティ領域や、患者さんの数が少なく治療法も確立されていない希少疾患領域で採用ニーズが高まっており、大型新薬のローンチなどに向けて組織体制を強化しています。その動きに合わせ、CSOでもコントラクトMRのリソースを確保しようとする動きが活発です。ジェネリックメーカーや中堅メーカーからもMRの採用ニーズがあります。

こうした背景により各社MRの採用に意欲的ですが、求める経験・スキルは絞られている状況です。

薬事申請の採用動向

薬事申請については、日系メーカー、外資系メーカー、スペシャリティファーマなど、全方位の企業から求人が出ています。

いずれの企業においても基本的な要件として、承認申請経験や当局対応経験が求められ、加えて外資系メーカーやスペシャリティファーマにおいては、グローバル会議での報告やディスカッションなどが可能なレベルの英語力が求められることが多くなっています。

一方で、薬事申請の経験者は市場にそれほど多くないことから、一部の大手ファーマにおいては未経験の方をポテンシャル人材として採用するケースがあります。その場合は臨床開発でメディカルライティングの経験がある方や、臨床開発サイドでの薬事経験のある方を採用したいと考えているようです。

メディカルアフェアーズ(MA)の採用動向

日本も含めたグローバルでメディカルアフェアーズ機能はDXを取り入れて進化し、役割が多様化しつつあります。グローバルの潮流を捉えながら日本の法規制のもとでどのようにローカライズし、その活動を拡大していくか、エビデンス構築・データベース研究・メディカル教育の活性化が課題となっています。

そこで、従来の「組織拡充」「新製品発売に向けた組織の立ち上げ」を背景とした採用以外にも、メディカルアフェアーズの新たな機能を担うポジションの採用が、大手企業を中心に顕在化しています。

一方で、社内・社外のステークホルダーの役割を相互に理解して戦略を考えることもより重要になってきています。マーケティングとの複数部署の経験者、社外のステークホルダー(患者団体など)とのコミュニケーション経験を持つ製薬業界経験者など、新しい採用ニーズも今後高まっていくことが予想されます。

GVP(Good Vigilance Practice)と PV(Pharmacovigilance: 安全性情報管理)の採用動向

安全性に関わる採用ニーズは高く、求人数も豊富です。製薬メーカーにおいては、新製品のリリースにともない、集積評価や安全確保措置、安全性定期報告やリスクマネジメントプラン(RMP)業務などの増員ニーズがあります。

採用ポジションはメンバークラスからシニアクラスまで幅広く、日本法人を立ち上げる外資系製薬メーカーからは部門ヘッドなどハイレイヤーの求人も見られます。

個別症例安全性報告の業務は、CRO(Contract Research Organisation = 開発業務受託機関)が受託する傾向が強くなっており、症例評価担当の採用が増えています。

採用ポジションは幅広く、PV経験者に限らず、治験関連の業務経験や薬剤の知識を持つ未経験者を採用している企業もあり、臨床開発モニターや薬剤師を採用した事例もあります。

品質職種(GQP・GMP)の採用動向

品質職種(GQP = Good Quality Practice・GMP = Good Manufacturing Practice)の求人は非常に多く、採用が活発になっています。採用ポジションとしては、「単独で動いて実務をこなせるプレイヤー」を管理職待遇で迎える求人が中心となっています。ゆくゆくは組織のラインマネジャー、あるいはヘッドを任せられる人材を採用したいと考えています。


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