IT人材の採用を成功させる6つのポイントとは
IT業界における人材採用市場は、現在大きな注目を集めています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展やAIといった新たなテクノロジーの登場により、企業のIT部門は常に人材不足であることが多いです。ここでは、IT人材の採用市場動向について、現状と将来の展望をご紹介します。
IT人材の採用市場動向
デジタル化の推進によりITエンジニアが不足している
近年、多くの企業がデジタル化を進めています。キャッシュレス決済やペーパーレス化など、デジタル技術を活用した新しい取り組みが増えています。これらの取り組みは、私たちの生活をより便利で豊かにしていますが、一方でWebエンジニアの人材不足も引き起こしています。
システムの開発や運用、保守などの業務が増加しており、これに対応するWebエンジニアが不足しているのです。
また、IT業界自体の成長も人材採用市場に影響を与えています。新しいテクノロジーの登場や市場の拡大、企業内でのデジタルトランスフォーメーションやイノベーションの推進には、優れたITスキルを持つ人材が欠かせません。
2030年には最大約80万人のIT人材が不足すると予測されている
IT人材の需要が高まる中で、優秀な人材の獲得がますます難しくなっています。
経済産業省が発表した「IT人材育成の状況等について」によると、IT需要予測からIT人材の不足数を推計すると、2030年には約40~最大80万人のIT人材が不足する見込みであるとの結果になりました。
IT人材不足と需要の高まりから、人材競争が激化しているため、企業は魅力的な働き方や環境、福利厚生を提供することが求められています。また、人材採用においては多様性やインクルーシブな環境の重要性も認識され、多様なバックグラウンドや経験を持つ人材の活用が進められています。
IT人材の採用市場は今後も成長が予測されており、企業は優秀な人材の確保に向けて積極的な採用戦略を展開する必要があります。テクノロジーの進化やビジネス環境の変化に対応できる柔軟性や創造性を持つ人材がますます重要とされる時代になっています。
【職種別】IT人材採用市場動向
職種 | IT人材採用動向 |
ITエンジニア | デジタル化の推進によりITエンジニアが不足しており、ITエンジニアの採用需要が高まっています |
機械学習(AI)エンジニア | 企業は既存事業だけでなく、新たな価値を持つ事業・商品・サービスを生み出すため、機械学習(AI)エンジニアの採用需要が高まっています |
データサイエンティスト | 企業の課題解決に有用な多くのデータ取得が可能になったこと、データ分析に特化したツール類も充実してきたことから企業における本格的なデータ活用が進み、データサイエンティストの採用需要が高まっています |
エンジニアリングマネージャー | 近年、SaaSを中心としたスタートアップ企業の急成長に伴い、EMを採用する企業は増加しています。加えて、大手ITプラットフォーマーやメガベンチャーもEMの採用を強化する傾向にあります |
SREエンジニア | 顧客ID・ポイント活用などのDXが進む小売業界や、生産ラインのIoT化や基幹システムの刷新が進む製造業、需給予測シミュレーションや設備運用のAI活用が進むエネルギー業界など、幅広い業界で採用が活発化しています |
ITコンサルタント | コンサルティングファームにおけるITコンサルタントの採用数は年間で数百人から数千人と各社で大量採用が進んでいます |
IT人材の採用が難しい4つの理由
前述のとおり、企業におけるIT人材の採用需要が高まっていますが、一方でIT人材の採用は困難を伴う課題となっています。以下では、IT人材の採用が難しい主な理由について詳しくご紹介します。
採用競争の激化
IT業界においては、優秀なIT人材を確保するための競争が激化しています。新興企業や大手企業を含む多くの企業がIT人材を求めており、その需要に対して供給が追いついていない状況が続いています。
企業は他社との競争を勝ち抜くために、提示年収の引き上げといった魅力的な待遇やIT人材が働きやすいようなリモートワークなどの環境・制度を提供しています。さらに、企業のブランディングや採用戦略の見直しが必要となっています。
優秀な人材は転職市場に出てこない
IT人材の中でも特に優秀な人材は、既存の職場で辞めないように待遇改善が行われたり、十分に評価されているため転職市場に出ることが少ない傾向があります。そのため、企業が優秀な人材を採用するためには、転職エージェントと密な連携を図ることが重要です。
IT人材が求める制度を用意できていない
IT人材は特に、柔軟な労働環境やキャリアアップの機会に注目しています。近年はリモートワークやフレックスタイム制度などが注目されていますが、これらの制度を導入していない企業はIT人材の採用において競争力を失います。
企業はIT人材が求める制度や環境を把握し、それに適した働き方や福利厚生を提供する必要があります。さらに、多様性と包括性を重視することも重要となってくるでしょう。
専門的な知識が必要、スキルの見極めが難しい
IT人材の採用には、専門的な知識やスキルの見極めが求められます。どのポジションにどのようなスキルがどの程度あればいいのか企業側にもある程度のITの専門知識が必要であり、企業側でITスキルの見極めができないと採用はさらに難しくなるでしょう。
また採用プロセスにおいて適切な面接や評価方法を導入し、候補者のスキルやポテンシャルを的確に見極めることが重要です。評価軸にはスキルセットだけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力などのソフトスキルも重要な要素として考慮する必要があります。
優秀なIT人材を採用する6つのポイント
IT人材の採用は、企業にとって成長を続けるために重要な課題です。特に優秀なIT人材の確保は競合性もあり困難を伴うことが多いですが、以下に示すポイントを押さえることで、採用の可能性を高めることができます。
採用目的・ペルソナを明確にした求人票
IT人材の採用を行う目的を明確にすることは非常に重要です。具体的な採用目的を設定することで、求める人材像や必要なスキルセットを明確にすることができます。IT人材といっても多くのポジションやスキルが存在しているため、採用したいポジションにどのスキルが必要なのか把握することが大切です。
IT人材を採用することで、何を成し遂げたいのかといったことを社内のIT部門と一緒に言語化することが大切です。
また、求める人材像を具体的に設定するためにペルソナを決めることが有効です。ペルソナとは、採用する人材の特徴や経験、スキルなどを具体的にイメージしたものです。例えば、開発エンジニアを採用する場合、求める言語やフレームワークの経験、アジャイル開発の経験といったITの経験はもちろん、マネジメント経験が必要かなどを明確にすることで、ピンポイントでの採用活動が可能となります。
柔軟な採用基準作り
IT人材は日々変化しており、多様なバックグラウンドやスキルを持つことが特徴です。そのため、柔軟な採用基準を作ることが求められます。過去の職歴にとらわれず、個々のポテンシャルや成長意欲を重視することで、優れた人材の採用が可能となります。また、チーム全体のバランスも考慮し、多様なスキルや経験を持つ人材を採用することで、チームの幅広い視点や能力を活かすことができます。
必要とするスキルが複数にわたり、採用したい人材が市場にいない場合は、採用種別を複数に分けたり、必須スキルと歓迎スキルに分けるといった工夫が必要でしょう。
カジュアル面談で動機づけする
優秀なIT人材との出会いの一環として、カジュアル面談を活用することが効果的です。カジュアル面談では、候補者とのお互いの情報交換や相性の確認が活発に行われます。候補者の動機や志向を深く理解し、企業の魅力を伝える機会となります。こういったカジュアル面談を通じて、候補者に興味や魅力を与え、採用への意欲を高めることができます。
選考スピードを改善する
優秀なIT人材は、複数の求人から選択肢を持っていることが多いため、選考プロセスのスピードが重要です。選考フローをスムーズに進めることで、優秀な人材を確実に採用することができます。選考にかかる日数や各段階でのフィードバックのスピードを向上させるために、内部プロセスの改善や関係者の連携を図ることが重要です。
市場価値にあったオファーを出す
優秀なIT人材を確保するためには、市場価値にあった魅力的なオファーを出すことが重要です。市場価値の把握やマーケットトレンドの把握を行い、競争力のある待遇やキャリアパスを提供しましょう。候補者が自社を選ぶ魅力を感じることで、採用確率を高めることができます。
またリモートワークや裁量労働制の導入などIT人材ににあわせた働き方に関しても準備が必要です。
職種 | 年収相場 |
ITエンジニア(フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア) | 600万〜800万円(テックリード:700万〜900万円) |
プロダクトマネージャー | 900万〜1200万円 |
SRE(Site Reliability Engineering) | 500〜800万円(実務経験がある場合は700〜1100万円) |
DevOpsエンジニア | 600万〜900万円 |
機械学習(AI)エンジニア | 600万~2000万円(ボリュームゾーンは800万~1,000万円) |
データサイエンティスト | 400万〜800万円(マネージャー職は1,000万円以上) |
内定後のフォローを徹底する
採用した優秀なIT人材を確保するためには、内定後のフォローを徹底しましょう。入社までの期間や入社後のスケジュールを明確化し、円滑なオンボーディングをサポートしてください。また、入社後のサポート体制やキャリア開発の機会も提供することで、長期的な定着を促進することができます。
IT人材採用にお悩みの際はご相談ください。